東京都労働相談情報センター

派遣労働に関する相談事例


1.派遣先の都合で契約解除

相談内容
期間半年の契約で派遣されたが、残り1ヶ月の時点で派遣元から「派遣先の都合で仕事がなくなったので今日で派遣終了としてほしい」と告げられた。「間を空けず、同様の仕事を紹介してくれるなら」と了解したが、なかなか紹介してもらえず、生活にひびき、困っている。
経過・対応
センターが派遣元に事情を聞いたところ、「会社としては派遣終了前に他の仕事を紹介したのに、拒否された。したがって、派遣終了を了解したものと理解した」とのこと。相談者に再度事情を聞くと、「紹介された仕事は前の仕事より賃金が安く、同様の仕事とは言えない。それでは生活できないので断った。仕事がないならば、当面の生活資金を補償してもらえないか」との話。
センターでは、「会社の都合による中途解約なのだから、派遣元は同条件の仕事を探す努力が求められる。もしそれができないならば、解雇予告手当の請求や契約違反として損害賠償の請求も考えられ、金銭補償は必須ではないか」と派遣元の責任を説明した。
労使の話し合いの結果、今回は解雇ではなく休業扱いとし、1ヶ月分の賃金相当を休業補償として支払い、同条件の仕事を早急に紹介するということで解決した。

2.契約外の業務の負担

相談内容
派遣先で契約外の業務も負担させられ、正社員並みに8時間働いているのに、休憩時間も時間通り取れない状態だ。周囲には派遣社員がいないので、派遣先の人には言いづらい。派遣元に訴えても何も対策を講じてもらえないので何とかならないか。
経過・対応
センターが派遣元に事情を聞いたところ、「仕事が大変になったことを考慮して、契約当初より時給をアップした。会社としての誠意は示している」との回答。
センターは派遣元に対し、「時給アップについては契約外の業務増加分と考えられるが、労働者の合意なく契約時の業務内容を変更することはできないし、労働条件通知書も当初のままでは派遣労働者に契約外の仕事をする義務はない。また、休憩時間もない状態は労働基準法違反であり、派遣法では、派遣先・派遣元ともに職場環境に配慮する義務がある。今後は派遣先と話し合い、休憩がとれるようにするべきでは」と法律の説明とアドバイスを行った。
後日、派遣元から「休憩時間の件は派遣先に確認し、善処したい。担当業務や賃金については、きちんと書面にしたいが、派遣先の意向もあるので相談させてほしい」と連絡があったので、相談者にその旨を伝え、合意を得て三者で話し合うことになった。
その結果、(1)担当業務や時給など契約内容を改めて書面で通知する、(2)契約時から現在までの休憩時間分は時給で換算して支払う、(3)今後は休憩時間を取れるよう派遣先が配慮する、との内容で合意した。今後は契約外の業務を勝手に負担させることのないようアドバイスし、解決した。