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非正規労働者雇用環境整備支援事業

専門家紹介

写真:溝口晃子さん

溝口 晃子 さん

溝口マネジメント事務所代表
中小企業診断士/社会保険労務士/初級産業カウンセラー


百貨店の販売職を経て、1996年、経営コンサルタントとして独立。
「現場重視」をモットーに、自らの業務経験を活かしながら
小売業やサービス業を中心としたコンサルティングを手がけてきた。
2006年より、東京都雇用環境整備コンサルタントとして、10社近くの雇用環境改善にあたっている。 

 

専門家の声

非正規従業員に向けた取り組みが会社全体の仕組みを見直す契機にもなる

公平性を保つためには明確なルールづくりが必要

東京都雇用環境コンサルタントとして、トライ企業10社近くの支援を行いました。さまざまな企業の支援を行うなかで、改めて感じたのは 「雇用形態の多様化が進むなか、それにともなう雇用環境の整備が急務だ」ということです。

例えば「家事・保育サービス」を展開する企業のケースでは、現状、従業員のほとんどが登録スタッフという形態をとっています。顧客は「家事・保育」等のサービスが必要な時だけ依頼するため、企業全体としての業務量は一定しておらず、従業員の就業日数や時間も変動せざるを得ません。したがって、事業主に「正社員への登用をはかりたい」、「社会保険の加入を進めたい」という意思がありながら、ルールの整備や運用は難しい実情にありました。こうした悩みは、同様に多くの登録スタッフを抱える訪問介護サービスを展開する企業にも見られます。

また、近年民間への移行が著しい保育所などでは、保育時間の長時間化に伴い、非正規従業員が増加。勤務日、勤務時間が多様化しており、さまざまな就業実態に合わせて雇用管理を行わなければならず、非常に複雑化しています。

就業実態や就業動機もさまざまである非正規従業員が多く働く企業では、一口にルールづくりといっても容易ではありません。しかし、そのなかにあっても、人事制度や評価制度などのルールを明確化し、公平性を保つことが、結果として働く人のモチベーションを高めることになります。「子育てが一段落したから、正社員として働きたい」とか「専門性を身につけて昇級を目指したい」と考える人は多くいますので、その人たちの道しるべともなるわけです。

雇用形態の多様化が進む今日においてこそ、ルールを明確化することで公正さを高め、従業員自身が「努力しだいで働き方を選択できる環境」を整備していくことが求められています。

 

給与面だけではなく教育の仕組みづくりやコミュニケーション促進を

とはいえ、雇用環境の整備には、企業自体の体力が不可欠であり、原資も必要です。非正規従業員に対して、給与等の金銭面で厚遇することは、実際には難しい。「優秀な人材は確保したいが、時給をアップする余裕はない」といった企業側の実情、あるいは「今は子育てもあり、配偶者の扶養の範囲内で働きたい」といった働く側のニーズもあります。

金銭的な面だけで解決できないからといって諦めるのではなく、"教育の仕組み"の充実やコミュニケーションの促進によっても人は動機づけられる、そのことを見過ごさないでいただきたいと思います。

正社員と同様に相応の教育の機会が与えられ、公正な人事評価制度が整っていれば、「私は会社の戦力として認められている」、「努力をすれば評価される」という気持ちが生まれ、企業への帰属意識も高まります。実際に、私がコンサルティングをした企業のなかには、正社員と同等の教育制度を整えることで、人材の定着率が格段にアップした企業もありました。

 

専門家の目を通して社内の"棚卸し"作業を

限られた原資のなかで「いかに非正規従業員の意欲を高めていくか」という課題こそ、経営者としての手腕が問われるところです。ただし、社内で策を練ろうと思っても、専門的な知識やそれに要する時間も必要で、なかなか実行できないケースもあります。

そのようなときに、専門家や第三者のアドバイスを聞き、自社に活用できそうな部分を選択し、うまく取り入れればよいのです。また、専門家の眼を入れ自社の棚卸しをすることは、結果として社内の風通しを良くすることにもつながります。

東京都が提供する雇用環境改善の支援策も「社内の棚卸しをする良い機会だ」という気持ちで、専門家を有効に活用していただければと思います。

トライ企業の事業主の方のなかには、「非正規従業員のルールづくりをするなかで、正社員の制度の見直しや正社員の役割そのものを見直すことになった」と、おっしゃる方が非常に多く、正社員を含めて全社的な雇用環境改善や雇用管理の改善につながったケースが見られました。

いまや全労働人口の約三割が非正規従業員となっている時代です。特に小売業や飲食業などではさらに比率が高く、文字通り主力人材となっています。こうした状況のなか、正社員、非正規従業員双方の役割を見直して、明らかに不均衡な点に関しては、速やかに是正するとともに、公正な仕組みをつくることが、企業に課せられた責任であるとともに、優秀な従業員の定着に寄与するものと思います。

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お問い合わせ先

東京都産業労働局 雇用就業部
労働環境課 雇用平等推進担当
電話:03-5320-4649